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7月後半から、8月は長かった
新涼や妻のひたいの冷たさよ

新涼や妻のひたいの冷たさよ -光
小雪 ○妻の額の冷たさに気づくなんて、そこはかとなく色っぽくていいですね。ただ「新涼や」「冷たさよ」と切れが二つあるので、「新涼の」のほうがいいのでは? それと、「冷たい」は冬の季語にあるので、ここはひらがなで「つめたさ」とすればそれほど気になりません。額を漢字にして→〈新涼の妻の額のつめたさよ〉
蒼月 *自分が熱っぽいので額が冷たく感じられたのか、散歩をしていてふと涼しさを感じたときに額に手をあてると冷たく感じられたのか状況がよくわかりません。
:熱が出ていた時にSさんが時々、額を当てて熱出てると言っていた。その時のSさんの額は
冷たくて心地よかった。小雪さんの指摘はありがたい。
新涼の妻の額のつめたさよ
新涼や山の仲間の見舞いあり -光
三四郎△思いがけなく入院するはめになったが山仲間が見舞いに来てくれた。夏の暑さもやわらいで外は涼しい風が吹いている。山への想いがつのる。
:入院の時も山の仲間は励ましに来てくれて嬉しい限り。山の話も出てオーラを一杯貰った。
高熱に揺らいで見える盆の月 -光
野里子△作者の実感でしょうか。月への感情も穏やかではない。
三四郎*たまたま病床から見た月が盆の月だったということでしょうが、盆の月はもっとからっとしたもの。高熱にうるんだ視線とは合わない。
:高熱の句を詠んでみたかった。
点滴の落ちる速度や盆の月 -光
小雪 △点滴を受けながらふと窓を見れば明るい盆の月が。病院での寸景ですね。ただ、落ちる速度というと、それがどうしたとツッコミを入れたくなります。たとえば〈点滴のゆっくり落ちて盆の月〉とかにすれば、早く点滴が終わらないかなあと退屈になって月を見ている様子がわかります。
蒼月 *点滴の落ちる速度が速いのか遅いのかもう少し具体的に表現したほうがいいように思います。盆の月との取り合わせならゆっくり落ちているのかな。例えば点滴のゆるりと落ちる盆の月ではいかがでしょうか。
あゆか*「点滴のゆつくり落ちる」くらいの方が潤んだような盆の月には合うかも知れない。
:点滴は一日中、つけたままで4回交換。実にうっとうしかった。
小雪さんが修正してくれた句が気持ちをよく表してる。
点滴のゆっくり落ちて盆の月
消灯やベッドで終わる敗戦忌 -光
:丁度8月15日はベッドの中。消灯で8月15日の一日が終わった。
私の選句。
新涼のてのひらで切る豆腐かな -小雪
夢路 ◎手のひらに豆腐を乗せてさいの目に切って味噌汁へ、味噌汁の美味しい季節をやっと迎えた気分です。
光 ◎てのひらで切るが新涼の涼しさを感じさせる。
三四郎◎てのひらにすくった豆腐の水の冷たさ。豆腐の白。よく研いだ包丁の光り。すべてが「新涼」という季語に奉仕している。
あゆか◎新豆腐の白さが涼しさを引き立てる。
はな ◯掌から季節の移ろいが感じられる繊細さがよい。
馬空 ○豆腐の冷たい感触が、季語に合っています。
勝山 △「新涼」が「てのひら」と「豆腐」のどちらに掛かるかあいまい。着想は良いと思う。
新涼や印を彫る音コリコリと -勝山
光 ◯新涼になり印を彫るのも熱が入る。
糸 ◯三段切れ?とも思いましたが。やっと涼しくなって来たので、秋の展覧会に向け、「コリコリと」一生懸命に彫っていらっしゃる姿が浮かびます。「新涼の~」より、やはり「新涼や~」の方が「コリコリ」に響くようにも思えて、難しいところです。ここはどのように考えたら、よろしいのでしょうか?
三四郎◯秋の初めの涼しい風が戸口から入ってくる。窓辺で彫っている印の石が乾いた音を立てる。
あゆか◯静かな秋の夜の景が見えてきます。
小雪 ◯印を彫るのはいつでもやっているのでしょう。でも、新涼を感じると細かい作業もはかどるような気がしますね。
朝摘みの花束濡るる盆の道 -あゆか
勝山 ◯草を刈り、盆路をつくる。その際に見つけた野辺の花は、仏に供えるのだろう。一握りの小さな花束は朝露に濡れてとても美しい。句も美しい。
光 ○お墓まいりに朝摘みの花束、優しいお嫁さんかな。
馬空 ○盆の景が、上五中七で、
的確に表現出来ています。
三四郎○墓までの路をきれいに除草するという意味の「盆路」という季語もあるがこの句は祖霊が通る墓からの道という意味だろう。墓に供えるのか家の仏壇に供えるのかはっきりしないが出来合いの供花ではなく朝摘みの花を供えるという心遣いが感じられる。
小雪 *このまま素直に読むと、盆の道を行くと朝摘んだ花束が濡れると受け取ってしまいます。〈朝摘みの花束濡れて盆の道〉のほうがいいのでは。